2017年6月25日日曜日

■チームの視点で議論 徳洲会関西・大阪ブロック薬剤部会 褥瘡研究会を開催:2017.2.18

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2017年(平成29年)3月21日 月曜日 徳洲新聞 NO.1074 三面

チームの視点で議論
徳洲会関西・大阪ブロック薬剤部会
褥瘡研究会を開催

徳洲会グループ関西・大阪ブロック薬剤部会は2月18日、生駒市立病院(奈良県)で第15回褥瘡研究会を開催した。従来は薬剤師のみで会を開いていたが、今回は形成外科医師や皮膚・排泄ケア(WOC)認定看護師による講演を企画。チーム医療の観点から褥瘡に対する治療・ケアについて知見を共有した。
実際に使用している褥瘡カートを持ち込み、説明する中西部長 実際に使用している褥瘡カートを持ち込み、説明する中西部長
会は岸和田徳洲会病院(大阪府)の敦見真由美・副薬剤部長の挨拶でスタート。午前は各施設の業務報告の後、薬剤師4人が登壇し自院の取り組みを発表した。

岸和田病院の奥野健一薬剤師は「院内における褥瘡予防の取り組み~白色ワセリンによる予防効果~」と題し報告。褥瘡の発生リスクが高い患者さんに白色ワセリンを使用し、予防を含めた効果を自立度などで検証した。これにより一定の成果が得られた可能性を示し、今後は院内で啓発していくことや、白色ワセリンの使用基準を検討する必要性を指摘した。

神戸徳洲会病院の野口太嗣薬剤師は自院で実施している褥瘡回診、褥瘡対策委員会、同委員会主催の勉強会について発表。本来業務との関係などで、活動に参加する部署や職種にばらつきが見られたことを明かし、活動時間や内容を工夫する重要性を指摘した。そのうえで褥瘡発生率を低下させる意欲を見せた。

名古屋徳洲会総合病院の山岡早織薬剤師は「病棟マットレス回診の取り組みとケアにより改善した症例」がテーマ。昨年7月から「病棟マットレス回診」を開始したほか、新規入院時、病棟変更時に患者さんの全身を確認し、必要に応じて皮膚科医に協力を依頼。その結果、褥瘡の早期発見・ケアにつながり改善したケースを報告した。山岡薬剤師は、病棟に常駐している薬剤師も患者さんの把握に一層努めるようにするとともに、看護師向けに薬剤に関する勉強会の開催など積極的にかかわる姿勢を見せた。

湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の錦佑輔薬剤師は「乳腺外来のドセタキセル投与による皮膚障害の発現要因について」と題し発表。乳腺外来患者さんを対象に、多様な固形がんに適応のある薬剤「ドセタキセル」による皮膚障害の要因分析、検討結果を報告した。錦薬剤師は要因のひとつとしてアルブミン、総タンパク質の低下の可能性を示唆。今後は、乳がん以外の固形がんを含め、さらなる解析の必要性を指摘した。
13病院から約30人が参加。積極的に意見を交換 13病院から約30人が参加。積極的に意見を交換
午後は特別講演を行い、生駒病院の中西新・形成外科部長が褥瘡治療について解説。褥瘡にも急性期と慢性期があり、急性期はできたばかりの褥瘡で、予防重視の視点で取り組むことが大切。慢性期は発生から3週間以上経過している褥瘡を指し、治療の観点が重要になると説明した。

予防や治療では栄養やスキンケアが肝要であるとし、学会が掲げる栄養指標や保湿ポイントなどを明示。さらには自院の取り組みとして、薬剤師が褥瘡回診に同行し、複数の軟膏を混ぜ合わせた“ブレンド軟膏”を塗布して治療を行っている様子を紹介した。中西部長は薬剤師が褥瘡治療で大きな役割を果たしている点を強調し、参加者に対して自院の褥瘡治療に積極的にかかわることを呼びかけた。

褥瘡の原因にも触れ、多くが「ずれ」であると指摘。体位変換のコツやマットレスなど福祉用具の活用を推奨した。

同院の中務直美・皮膚・排泄ケア認定看護師と前川大輔薬剤師は、自院で実践している褥瘡に対するチーム医療を説明。中務・認定看護師は皮膚・排泄ケア認定看護師の役割やスキントラブルの解説、チーム医療の考え方などを解説。最後に薬剤師に望むこととして、服用薬剤のチェック、局所治療に用いる薬剤の提案、褥瘡治療の薬剤に関する部分の院内勉強会の講師―などを挙げたほか、褥瘡関係の学会への参加も呼びかけた。

前川薬剤師は褥瘡回診時の自身の役割や褥瘡関連の学会に積極的に参加し、研鑽(けんさん)を積んでいる様子を披露。今後も多職種と連携し、薬剤師としての役割を果たす覚悟を示した。

特別講演の合間には、実際に生駒病院が使用している褥瘡カートを会場に持ち込み、中西部長と中務・認定看護師が解説。引き出しの中身やカートに積んでいるものなどを紹介し、効率良く褥瘡回診する工夫を説いた。

大垣徳洲会病院(岐阜県)の山崎崇薬局長が総括し、閉会した。今回、企画に携わった生駒病院の田浦稔基・薬剤部主任は「薬剤師は飲み薬だけでなく、外用薬のスペシャリストとして褥瘡にかかわれると思っています。チーム医療が叫ばれるなか、多職種連携し、ひとりでも多くの患者さんをサポートしたい」と目を輝かせていた。

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